医療面もカバーできる研修の存在
2025.9.2

医療面もカバーできる研修の存在

従来の介護士の仕事は身体介護と生活援助がメインであり、医療的ケアには従事できませんでした。しかし、医療的ケアを必要とする高齢者が増え続けるなかで、2025年問題の一つである人材不足も深刻度を増していたのです。そこで、人材不足の解消に貢献しているのが喀痰吸引等研修の存在です。2012年の法改正により、喀痰吸引等研修を修了した介護士は喀痰吸引等ができるようになりました。

線引されていた業務

従来、医療行為と介護行為の線引きは明確にされており、医療的ケアは医師や看護師といった医療の専門職のみが対応できる業務とされていました。喀痰吸引や経管栄養、たんの吸引、床ずれの処置、人工呼吸器の管理などは医療的ケアに該当し、医師や看護師の指示や管理の下で行われてきました。しかし、高齢化が急速に進む中で、医療と介護のニーズは増加の一途を辿っており、これまでのように明確な分業だけでは供給が追いつかなくなっているのです。高齢化が進み2025年問題が生じるなかで医療や介護に従事する人材は不足しているのが現状です。この深刻な人材不足に対応するため、より柔軟な体制整備が必要とされています。柔軟な体制の変化によって、医療と介護の連携強化が促進され、高齢者が安心して生活できる社会が実現するものと考えられます。

喀痰吸引等研修

2012年の法改正により、一定の研修を受けた介護士も医療的ケアであるたんの吸引や経管栄養を実施できるようになりました。この研修は「喀痰吸引等研修」と呼ばれ、たんの吸引だけでなく、チューブを使って胃に直接栄養を送る経管栄養も含まれています。 喀痰吸引等研修の導入によって、たんの吸引や経管栄養に対応できる介護福祉士等が増えることで、介護現場の人材不足の解消と、より多くの高齢者へ必要な医療的ケアを提供できる体制の構築が期待されています。この研修制度は、増加する医療的ケアニーズに対応し、2025年問題における人材不足解消のための重要な取り組みといえます。

介護士にとってのメリット

喀痰吸引等研修を修了した介護士は、従来の介護業務に加えて、たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアにも対応できるようになります。そのため、活躍の場が広がり、より多くの高齢者や患者さんの支援に携わることが可能になります。 喀痰吸引等研修の修了は、転職活動においても大きなメリットが得られます。医療的ケアに対応できる人材は、介護業界はもちろん医療業界でも求められています。そのため、喀痰吸引等研修を修了していることは、採用選考における強力なアピール材料となり、就職や転職の成功率を高めることにもつながるのです。 2025年問題によって深刻化する高齢化社会において、医療的ケアのニーズはますます高まると予想されます。喀痰吸引等研修を修了した介護士は、長期にわたり社会から必要とされる人材となるでしょう。さらに、施設によっては、喀痰吸引等研修の修了者に対して特別資格手当を支給している場合があり、収入アップも実現できる可能性があります。

TOPICS

  • 介護ロボットの活用

    介護ロボットの活用

    介護ロボットは様々な機能で高齢者のケアを支援します。様々なロボットが開発・実用化されており、ロボットによる転倒検知や移動介助、会話による認知症予防や孤独感軽減に効果が期待されています。また、ロボットを導入することで介護職員の負担軽減だけでなく高齢者の安全で快適な生活にもつながるでしょう。

  • 労働環境の改善に向けて

    労働環境の改善に向けて

    昔から医療現場の労働環境は仕事の多さや夜勤の多さから給与は良いものの、決して好ましい状況ではないとされていました。しかしそれでは医療現場で働こうという人材が集まらないため、一部の政治家がそうした状況の改善に向けて提言を重ねるなど状況改善の兆しがみえています。

  • 需要増の医療業界

    需要増の医療業界

    現在日本は少子高齢化を進み続けており、また2025年には団塊世代が後期高齢者となる2025年問題も控えています。そうした状況で今医療業界は将来的に圧倒的な人材不足になるといわれており、特に看護師や介護士ではその傾向が顕著になるといわれています。もしこうした仕事に関心があるのであれば今がチャンスといえるでしょう。