年金支給開始年齢の引き上げ
2025年問題には医療費以外にも様々な問題が潜んでおり、その中でも特に大きな問題が高齢者の生活費、つまり年金支給の問題です。特に年金の支給開始年齢は既に65歳に引き上げられております。今はまだ一定の条件を満たしていれば60歳から64歳の間も特別支給の老齢厚生年金がありますが、それもいつまで続くかわかりません。
現実的ではない厚生労働省の予想
まずそもそもの数字として年金をはじめとする社会保障費は現在既に年間約120兆円もかかっており、これが2025年には150兆円を超えるといわれています。このことに対して厚生労働省は現役世代の賃金が今後も上昇を続け、そのために現役世代の負担能力が向上するので大丈夫であるという内容の試算を発表しています。しかしこれは、とてもではありませんがそのまま受け入れられる内容ではありません。事実90年代後半以降平均所得は下がり続けており、国民の負担能力は大きく減少しています。これまで20年以上下落を続けた平均賃金が、今になって好転する可能性は極めて低いといえるでしょう。
そのように現実的に考えた場合、制度を維持するためには2つしか方法はありません。1つはここ何年か話題にならない日はないというほど注目が続いている消費税です。現行の消費税を例えばもう15%ほど上げた場合、1%につき2兆円の税収増が見込めるといわれていますので、30兆円分の現状に対しての不足分を補うことが可能です。しかしそれは既に8%の消費税を23%にするということです。流石に簡単には導入できないでしょうし、経済社会への悪影響も懸念されます。
そこで現実的に行われるであろうことが、もう1つの対策である支出の抑制、つまり年金の支給金額の引き下げ、もしくは支給年齢の引き上げです。
年金支給開始年齢の引き上げ
年金の支給年齢の引き上げはほぼ間違いなく行われるでしょう。また今の政府は年金の支給金額を現役時代の収入の半分ほどにすることを目標としていますが、この目標も叶えつづけることができるとは思えません。将来的に年金は廃止にはならないとしても支給年齢が引き上げられ支給金額は引き下げられるということになると思います。
個人による備え
では例えば年金の支給年齢が70歳、あるいは75歳まで上がりさらに支給金額まで引き下げられる社会が訪れたとして個人はどうすれば良いのでしょうか。やはり自分できちんと生活設計とフィナンシャルプランニングを行い、蓄えを作っておくしかないでしょう。確定拠出年金などの個人年金制度を活用するのも良いですし、将来的な医療費の支出に備えて特定疾患などもカバーしてくれる保険に加入するなどの対策が求められます。
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